株式会社保健科学研究所

フェニルケトン尿症遺伝子解析

フェニルケトン尿症 遺伝子解析とは

フェニルケトン尿症(Phenylketonuria:以下PKU)は、
フェニルアラニン代謝経路の障害によって引き起こされる先天性アミノ酸代謝異常症の一種で、高フェニルアラニン血症を呈し、
フェニルアラニンの体内蓄積により乳児期の早期から知能障害などの中枢神経障害と
メラニン欠乏による赤毛、色白が起こります。
平成27年7月から医療費の助成対象疾病である「指定難病」に追加されています。

高フェニルアラニン血症を呈するものは、
フェニルアラニン水酸化酵素(Phenylalanine hydroxylase; 以下PAH)遺伝子の異常によるPAH欠損症と
PAHの補酵素であるテトラヒドロビオプテリン(BH4)代謝系の酵素をコードする遺伝子異常の2つに大きく分類されます。
更にPAH欠損症は同一遺伝子であるPAH遺伝子を原因とする古典的PKU、異型PKU、非PKU高フェニルアラニン血症の3つに、
後者のBH4代謝系の酵素異常ではPAH遺伝子ではない、他の4つの遺伝子によって4タイプに分かれます。
高フェニルアラニン血症を呈する97%程度はPAH遺伝子変異に依ります。
遺伝学的検査の結果は治療法の選択に重要な情報になります。
PAH遺伝子異常は常染色体劣性遺伝形式であり、
12番染色体長腕(12q24.1)上に存在する13個のエクソンからなる約90キロ塩基対の遺伝子で、
この遺伝子の異常によりPAH活性の低下を引き起こします。
PKUの遺伝子変異解析は、責任遺伝子であるPAH遺伝子の全13エクソンをダイレクトシーケンス法にて解析する遺伝学的検査で、
PAH遺伝子内に原因遺伝子変異が見出された場合、アレルによって表現型が異なる(アレル異質性)古典的PKU、異型PKU、
非PKU高フェニルアラニン血症の分類に有用な検査です。

高フェニルアラニン血症における座位異質性

※BH4補充療法はPAH遺伝子変異による疾患に罹患する患者の一部で、PAH活性を上昇させる可能性がある。
AR:常染色体劣性、BH4:テトラヒドロビオプテリン、DHPR:ジヒドロプテリジン還元酵素、
GTP-CH:グアノシントリホスフェートシクロヒドロラーゼ、5-HT:5-ヒドロキシトリプトファン、
PAH:フェニルアラニン水酸化酵素、PCD:プテリン4αカルビノールアミン脱水酵素、
PKU:フェニルケトン尿症、6-PTS:6-ピルボイルテトラヒドロプテリン合成酵素。
メディカルサイエンスインターナショナル出版
「トンプソン&トンプソン 遺伝医学」日本語和訳版から引用)

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