HTLV-1とはリンパ球に感染するウイルスで、そのキャリアの一部からは、ATL(成人T細胞白血病:Adult T cell Leukemia)、HTLV-1関連脊髄症(HAM)、ぶどう膜炎などのHTLV-1関連疾患などが発症します。 感染経路としては主として母乳などによる母子感染が多いといわれており、キャリアは九州・沖縄に多く分布していましたが、最近は大都市圏にも拡散していることが分かっています。
妊婦健診について
母子感染の可能性を減らすために、厚生労働省では「平成23年度からHTLV-1抗体検査を妊婦健康診査の標準的検査項目に追加する」と決定し、出産までに準備が出来るように、妊娠初期から妊娠30週頃までのあいだでPA法もしくはEIA法にてHTLV-1抗体検査を実施することとしています。
検査方法について
妊婦検診の抗体検査の方法については、スクリーニングとして、PA法、EIA法などがありますが、どの検査にも非特異反応による偽陽性が存在することから、必ず確認検査としてウエスタンブロット法〔WB法〕を行う必要があります。
なお、スクリーニング検査の結果だけでキャリアと判断することは避けねばならないとされています。
また、確認検査のウエスタンブロット法〔WB法〕で判定保留となった場合、PCR法も存在しますが、保険未収載の検査となります。
〔参考〕
「HTLV-1 母子感染予防対策 医師向け手引き」 平成21年度厚生労働科学研究費補助金厚生労働科学特別研究事業「HTLV-1の母子感染予防に関する研究」報告書(改訂版)(研究代表者:齋藤滋富山大学大学院教授)平成23年3月